人類とイノベーション / マット・リドレー

読書感想文
読書感想文

イノベーションを生み出すのは一部の偉人でなく、人類が必然的に引き起こすものでした。

緩やかに起こるイノベーション

本書の筆者であるマット・リドレーが、岩尾先生のイノベーションを生む“改善”を要約した論文についてコメントを寄せているというのを知り、そこで本書を読んでみようと思いました。

岩尾先生は現場の地味なイメージである「カイゼン」が、イノベーションにつながるという主張をしており、それに共感したのが筆者ということです。

本書では数十件に及ぶ多数のイノベーションの歴史を具体的に紹介するとともに、「イノベーションとは何か」を紐解いていきます。その「何か」の一つとして、イノベーションが必ずしも科学的な研究から飛躍的に生じるわけでは無く、むしろ実用的な目的によって緩やかなプロセスから生まれるが多いことです。まさしくカイゼンに通じるものがあります。

自由が生み出すイノベーション

自由主義に傾倒している本ブログとしては、やはり「自由」を感想文のテーマにしたいです。本書のサブタイトルも世界は「自由」と「失敗」で進化するですし。

本書では、それぞれのイノベーションの紆余曲折を紹介しています。単純な歴史だと一人のひらめきにスポットが当たるような発明も、先人たちの様々な試行錯誤や、アイデアがぶつかりあう様子が丁寧に描かれています。これらはひとえに自由な挑戦がもたらすものです。

その自由の対極にあるのが規制や知的財産です。原子力や遺伝子技術などの規制が自由な技術開発を妨げます。最近だとライドシェアを妨げる規制が話題ですね。

本書も一応失敗例を取り上げてはいるものの、わずかな分量です。自由の弊害はことさら強調されがちですが、冷静に全体を見て、自由の恩恵にあずかることができればと思います。

関連図書

本書と同様、岩尾先生きっかけで読んだ本。人類の本質に迫ります。イノベーション=文化とも言えるのかも。
自由と言えばこの本。規制が成長を妨げる!
本書の謝辞に、この有馬氏の名前が挙がってました。これも規制に立ち向かう本ですね。
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