組織・チーム・ビジネスを勝ちに導く「作戦術」思考 / 小川清史

読書感想文
読書感想文

戦略や戦術だけでは不十分?そこで「作戦術」です。

作戦術とは

元自衛隊幹部の筆者がビジネスにも使える「作戦術」について解説してくれます。似た言葉に戦略や戦術がありますが、それぞれ上位概念から順に

戦略…Strategy
作戦術…Operational
戦術…Tactics

という並びになります。すなわち、大きな目的となる戦略から、実際の運用をカバーする戦術までの橋渡しとなる位置づけです。

橋渡しという意味では、本書は様々なビジネス本の橋渡しにもなっています。

本書の中ではトフラーの「第三の波」を引き合いに出しながら、情報をもとに自分で考えて行動するミッションコマンド型の人材が必要になると説いています。いわゆるティール組織でも情報共有とメンバーの自発性がポイントになっていました。

また、本書の帯には「がんばるな」「気を利かせるな」といった、あまりリーダーらしからぬ言葉が並んでいます。これは「全体最適化」を達成するためには、個人の役割や能力に応じた働きをすることが必要であるということです。本書の意図とは異なるかもしれませんが、私は心理的安全性のつくりかたにも通じるものがあると感じました。

単純に考えると、「自分で考える」と「がんばるな」を両立させることは難しそうです。そこで必要になるのが「重心」であり、すなわち本質を見抜く力です。

本質を見抜く力

本書の前半で「作戦術」の理論について説明がありますが、読んだだけで実践できるようになるわけではなく、訓練が必要です。それが「本質を見抜く力」を鍛えることです。この力を用いて、戦略と戦術とのつながりをその都度自分なりに考え抜くことになります。

この思考トレーニング方法について本書で事例を挙げています。正解がない問題に取り組むことが特徴です。すなわち、序列を決めるための試験勉強とは非なる問題ということです。

試験勉強の弊害についても本書は指摘しています。答えがある問題に慣れている場合は注意が必要かもしれません。

日本型組織の課題

本書では日本型組織の課題として、「作戦術」思考が欠けていると指摘しています。個々の力はあるものの、それが組織全体では活かされていないと。

日本“式”経営の逆襲でも、現場では個々が自立して動いており、ティール組織のような概念は現場レベルでは根付いていると説明しています。

あとは個々の力を「作戦術」によって全体最適につなげられるかが課題ではないでしょうか。しっかりと基礎的な訓練を重ねて、日本の強みを活かしていきたいですね。

参考動画

タイトルとURLをコピーしました