沈鬱の平成政治史 / 倉山満

読書感想文
読書感想文

昭和生まれなので、一応平成の最初から最後までを生きてきたつもりですが、実際は知らないことだらけですね…。

初めての選挙を振り返る

自分の初めて行った選挙は、2005年9月の衆議院選挙、いわゆる郵政選挙です。今思えば、当時から同時多発テロや北朝鮮拉致など、世の中を震撼させる事件が起きています。ずっと不安定な世界ですね。

当時の首相である小泉純一郎は、なんだか世の中を変えてくれそうなイメージがありました。「自民党をぶっ壊す!」という言葉はいまだに覚えています。

その小泉について本書では、とても政治家らしい側面があることを説明しています。派閥にとらわれないという宣伝文句の裏で、派閥の力関係をしっかり押さえた構造になっています。ただし幹事長や政調会長などの党人事や、各大臣ポストの位置づけを理解しておかないと、どういう力学が働いているのかは素人にはわかりません。登場人物も役職も数が多くて、理解するのは難しそうです…。

経済の歴史

物心ついたときにバブルがはじけた世代からすると、平成を通して世の中はずっと不景気で、好景気というのは歴史上の出来事だと思っています。

消費税が生まれたのも平成の時代で、これにも政治の世界が大きくかかわってきます。本書によると、最初の3%の時は、大蔵省に貸しを作る側だったのが、10%の時は財務省に借りを返す側になっています。税率を上げて経済が悪化する流れを繰り返してきたので、なんだか不景気が定常状態になってしまった感があります。

今の政権下でも新しい税の話には事欠かないので、今後の経済成長もこのままでは厳しいかもしれません。

平成の日本のトップは

改革を志す政治家が、安定した権力の座を得られるとは限りません。逆に権力を得ることそのものが目的化することはあるようですが。

希望をちらつかせた安倍晋三や菅義偉も、政治的な圧力の中で中途半端な改革で終わっています。それくらい、既得権益者も必死です。

本書の目的は、読者に「悔しがってほしい」とのこと。実際読んでみて悔しいのは確かですが、このような権力争いの渦の中、志を保ったまま覇権を握ることが果たしてできるのかとも思ってしまいます。やはり政府は焼け太りして、身動きが取れなくなっているんでしょうね。

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