再興 THE KAISHA / ウリケ・シェーデ

読書感想文
読書感想文

ビジネス本は膨大な種類があるので、13歳からの経営の教科書の岩尾先生のTwitterを参考にして読んでます。日本の明日はどっちだ?

日本式の概要

本書は2019年に出版されたThe Business Reinvention of Japan: How to Make Sense of the New Japan and Why It Matters (English Edition)の日本語版で、2022年に出版されました。英語版が先ということで、日本の会社を外から客観的に評価した内容になっています。日本の特徴について良いか悪いかではなく、あくまで事実としてまとめながら、現在置かれている状況を分析しています。

そのなかで自分が気になった日本の特徴を挙げておきます。

安全第一

建設業や製造業なら馴染みの言葉です。アメリカで生まれた言葉らしいのですが、safety firstで検索してもあまり出てこないので、すでに日本特有の概念になっているのではと思いました。

社会的な混乱を避ける傾向があるため、改革の動きが遅いのが特徴です。とはいえ、ここ数十年で分離や合併などで様変わりした会社も多々あります。動きが遅いことを良い悪いではなく事実として認識し、その上で変化した会社、変化の途中の会社がまとめられています。

終身雇用

安全第一の性分から派生した雇用形態です。組織戦略の考え方/沼上幹ではこのシステムを前提に日本向けの組織戦略を解説しています。企業と政府、従業員のギブ&テイクが暗黙の合意を成していったものとみなされています。

筆者は日本の漸進的な変化を分析した上で、「おそらく終身雇用は最終的には守れないだろう」と述べています。

ジャパン・インサイド

スマホなどの先端機器の内部に日本製の部品が多数使われている状況を指した言葉です。japan insideで検索すると本書の英語版か、または観光情報が出てきたので、これもそこまで浸透している言葉ではないのかなと思いました。

いわゆる製造業のスマイルカーブで、上流側の利益の高い位置に属します。ただ本書を読む限りは、あくまで「移行期」の産業として捉えた方がよいと思いました。

用語

ビジネス本ですから多くのカタカナが出てきます。そのうち個人的に気になった用語を挙げておきます。

リインベンション Reinvention

直訳すると「再発明」。本書の英語版のタイトルでもありますが、日本語版のタイトルでは「再興」と訳しています。

本文の内容からすると、まずは「再構築」(Restructuring)が必要で、その環境でビジネスの「再発明」が起きる流れですので、確かに全体のタイトルとしては「再興」がふさわしいのかなと勝手に納得しました。

ナッジ Nudge

直訳すると「軽く突く」、本書では「後押しする」の意味で使われます。新しいカルチャーの布教活動のようなものと理解しました。急激な変化には抵抗がある日本の会社をうまく誘導するための手法です。

シェイミング Shaming

直訳すると「恥ずかしい思いをさせる、恥をかかせる」。上記のナッジと同様に変革を誘導するための手法ですが、そのまま読むと少々刺激的な手法に思えます。本書で出てくるシェイミングは、変革に賛同するメンバーを称賛することにより、相対的に抵抗者に恥をかかせる手法で使われます。

変革のヒント

会社の内部からは世の中全体の動きが把握できていませんでしたが、本書によって理解を進めることができました。スピードは遅いものの、漸進的に再構築が進んでいます。ここで方向性を間違えると余計に時間がかかりそうですね。

日本の会社の動きが遅いことを現実として理解し、その上で改革を促す手法が先ほど挙げた「ナッジ」と「シェイミング」です。抵抗が大きいことは承知の上で、粘り強く改革を先導しないといけません。なかなか至難の道ですね。

現代の会社は大きな移行期に差し掛かっています。こちらとしても、方向性を精査して将来性を見極めなければいけません。

タイトルとURLをコピーしました