イシューからはじめよ / 安宅和人

読書感想文
読書感想文

以前プレゼン資料を英訳する時、「課題」という単語の訳に困りました。直訳すると「issue」が出てくるのですが、なんだか大げさな響きがしたのを覚えています。
(他にいい案が無かったので、結局「issue」で済ませたのですが)

イシューとは

Amazonに本書におけるイシューの説明が載っていたので、引用します。

「イシュー」とは、「2つ以上の集団の間で決着のついていない問題」であり「根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題」の両方の条件を満たすもの。
あなたが「問題だ」と思っていることは、そのほとんどが、「いま、この局面でケリをつけるべき問題=イシュー」ではない。
本当に価値のある仕事をしたいなら、本当に世の中に変化を起こしたいなら、この「イシュー」を見極めることが最初のステップになる。

イシューからはじめよ / Amazon 出版者説明

取り組む前に、取り組むべきかどうか、最初に見極めよう。ありがちな「やりながら考える」というのは避けるべきということですね。有名どころだと7つの習慣の時間管理マトリックスでも「重要性&緊急性」の4象限で説明がされていました。本書ではさらに「答えが出せるか」の要素も加わります。答えが出ないことに悩むのは、考えるフリに過ぎないとのことです。

使いこなすには

アウトプットを出すまでに、一つの観点ではなく様々な手法を用いるべきだと述べられています。最初の5~10年は幅広くスキルを磨くべきだともありますが、ビジネス本の中ではやや長期的な見方をしていると思います。根っからの起業家が書いた本には、このような発想はないのではないでしょうか?思いついたら行動せよとか言われるイメージがあります。生物系のPh.Dを有する筆者だからこその視点ではないかと思いました。

定番のフレームワーク(MECEやSo What?など)にも触れられるものの、あくまで本質をつかむためのツールとして出てきます。社会人向け研修で、やたらフレームワークを使うコンサル会社の講師が派遣されます。講義は型にはめてもいいかもしれませんが、実際の業務はそんなことはないので、やはり本質をつかむことを忘れてはいけないと思います。

ゴールは本質的でシンプルなメッセージ

最終的にアウトプットするまでに、余計なものはそぎ落とされていきます。そのために早くサイクルを回し、本質に近づけていく必要があります。スタートはシンプルな問いから始まり、そこから綿密にロジックを組み立てて、ゴールではまたシンプルなメッセージに集約されます。

実際本書も読み始めと読み終わりはすっきりとした流れななので、理解した気になってしまいます。ただし中盤に箇条書きでまとめられている内容などは、実際の場面で咄嗟に出てくるようなものではないので、身につけるには訓練を繰り返す必要がありそうです。本書を読み終えるだけでなく、正しい訓練に時間を割くことで、ようやくステップアップできるのだと思いました。

イシューからはじめよ ― 知的生産の「シンプルな本質」
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