大国のハイブリッドストラグルに続く、救国シンクタンクの叢書第3弾。今回のテーマは「レジ袋」です。
叢書第1弾の自由主義と同様の考え方に基づいています。税金下げろや、リバタリアンも基本は同じ考え方ですね。
議論の進め方
行き過ぎた環境規制に関して警告を鳴らす本は、当ブログでもEV推進や環境原理主義などを紹介してきました。本書の「レジ袋」も同じく環境規制に対する慎重な見解が出発点になっています。
議論の進め方として、「規制ができるまでのプロセス」に着目しているのが本書の特徴です。
著者である国際政治アナリスト「渡瀬裕哉」、郵便学者「内藤陽介」の両氏が「規制ができるまでのプロセスに関する知識」を公開し、逆説的に「新たな規制作りを防止」または「既存規制を葬っていくための知識」を徹底解説しています。
救国シンクタンク叢書 なぜレジ袋は「有料化」されたのか / 紹介欄より
環境問題に関して科学や経済の観点で議論を進めると、まず立場や背景などの前提を整理しないと議論が成立しません。その前提知識がバラバラだと、建設的な議論をするのは難しいので、宗教論争や水掛け論のような状況になってしまいます。
そこで本書では、「規制ができるまでのプロセス」という客観的に検証ができる手法で議論を進めています。具体的には広報の見直し等を国会議員に提言する取り組みを行っています。レジ袋の自由化を訴えるわけではないので、じれったいアプローチにも見えますが、単なるパフォーマンスで終わらない着実な成果を見据えた活動だと思いました。
調査手法
本書は「規制ができるまでのプロセス」の調査手法を提示するとともに、その一例として「レジ袋」にスポットを当てています。いわばアクティビスト向けの「マニュアル本」です。
日本にはすでに膨大な数の規制が存在し、現在も増大を続けています。すなわち「レジ袋」は氷山の一角にすぎません。そのため、この調査手法を普及させることによって、他の規制にも同様の活動を波及させることが本書の目的です。
具体的な調査ツールとして、国会議事録検索システムが紹介されていました。試しにアントニオ猪木や立川談志の発言を検索したところ、かなりの数がヒットしました。膨大な資料の中から規制ができるまでの流れを整理するのは大変そうですが、本書のレベルまで理論武装するにはこの作業が重要にるとのことです。逆に考えると、規制を作る側の方が圧倒的に有利です。この状況を打破するためには、国民側がしっかりと勉強して政府を監視する必要がありそうです。
レジ袋の自由化に向けて
レジ袋規制の目的であった環境意識の啓発は達成されたので、実はすでに役目を終えています。厚みや素材をいちいち気に掛ける手間から解放される時期に来ました。
レジ袋の自由化を実現するために、まずは規制の手続きという観点で議論を展開し、それ実を結び始めています。放っておくと増大する規制を諦めるのではなく、対抗することができるということが示されました。政治家の皆さんには、官僚のお役所仕事を監督するという本来の仕事を全うしていただきたいものです。
参考動画