自分が13歳の頃は同級生に自営業の家庭もあったので、むしろ経営が身近だった気がします。今は周りが雇われのサラリーマンばかりなので、また13歳に戻ったつもりで勉強します…。
13歳からシリーズ
Amazonで「13歳から」で検索すると、大量にヒットしました。もともとのは村上龍のハローワークからでしょうか。13歳や17歳という割り切れない数字には、何か期待と不安が入り混じる不思議な響きを感じてしまいます。そんな刺激を求める世代向けに、ほのぼのした表紙の「経営の教科書」を出版するというのは、なかなか面白い取り組みですね。
13歳からも読めるように、易しい文章で書かれています。経営の神様のような偉人が出てくるわけでもなく、等身大のキャラクターがビジネスを生み出す物語です。ただし単なるお金儲けではなく、街社会への貢献という「ビジョン」も出てきます。13歳からのビジョナリーカンパニーといっても差し支えないかと思います。ちょっとしたパロディも散りばめられているので、大人も楽しめるのではないでしょうか。
普通のアイデアから始まる
同じ商品でも、お店によって値段が違う。そんな些細な気づきをきっかけにビジネスがスタートします。本書に出てくるアイデアは、誰もが一度は思いつくような発想ではないでしょうか?それをとりあえず実行しながら、徐々にブラッシュアップしていきます。最初は普通のアイデアでも、仮説と検証を繰り返すことで戦略が具体的になってきます。
本書の登場人物はカリスマ経営者ではないので、トップダウンで物事が決まらず、話し合いながら進んでいきます。現実の話し合いもこのようにスムーズにいけばいいのになと思いながら、この物語との違いは何だろうと考えました。そこで「リーダーシップ」や「ビジョン」の重要性に気づかされました。もちろん初めて聞いたキーワードではないのですが、普段そんなに意識するわけでもなかったので、改めて基本に立ち返ることができました。
ビジネスの基本
物語中のビジネスはある程度トントン拍子で進みますが、筆者あとがきで現実のビジネスの厳しさも語られています。これで全体のバランスがぐっと締まりました。
物語がトントン拍子といったものの、基本的なエッセンスは詰まっていると思います。始めは誰でも思いつくアイデアを磨き上げていく、そしてビジョンを共有した仲間を増やしていく。現実は甘くないからこそ、基本に忠実に経験を積み重ねていくことが大切です。13歳の3倍近い年齢ですが、改めて基本に立ち返ろうと思わせてくれた一冊でした。
追記
本書の演習版ともいえる教育資料が無償公開されました。経営学の普及にかける筆者の思いが並々ならぬものであることを思い知りました。