アイデアのつくり方 / ジェームス・W・ヤング

読書感想文
読書感想文

ノープランでのアイデア出しは時間だけが闇雲に過ぎて嫌になりますが、本書のような簡潔なスキームがあると非常に助かります。実際は甘くないのかもしれませんが。

現在でも生きる本

キーエンスの本(キーエンス解剖 最強企業のメカニズム)が今話題です。ただ話題の本に飛びつくのはちょっと恥ずかしかったので、キーエンス本の要約がどこかに無いかと探して、下記動画を拝見していました。

この動画の11:46~のパートから、本書『アイデアのつくり方』が紹介されていました。「既存の要素を新しく組み合わせる」というのがそのポイントです。

原著の初版は1940年なので80年以上前の作品ですが、現代でも参考にされる不朽の名作ということで興味がわきました。アイデアというと才能とひらめきのイメージでしたので、整理されたプロセスがあるというのならばぜひ知りたいと思いました。

アイディアのプロセス

本書のタイトルで検索すると色々なサイトに要約が載っています。Wikipediaにもまとめてあるアイデア生産の段階は以下の通りです。

  1. データ集め
  2. データの咀嚼
  3. データの組み合わせ
  4. ユーレカ(発見した!)の瞬間
  5. アイデアのチェック

1.は努力すればこなせそうな気がします。ただ具体的には特殊資料(目的に沿った資料)と一般的資料(様々な資料)とがあり、キリがない作業にも思えてきます。アイデア出しに備えて急ごしらえするものではなく、日頃から資料集めにいそしむ必要があるようです。

2.は本書にて、「頭脳の中で進行するので、言葉で説明するのが難しい」とありました。英語で調べると“chew”だそうです。このパートでは、「嫌気」「息切れ」「絶望状態」など、なかなか気が重くなる文言が続きます。アイデアにたどり着くには一筋縄ではいかないようです。

3.と4.は誰にでもできるのか、そうでないのか様々な見解があるそうです。本文の後に設けられた解説(竹内均著)では本書以外の様々な発想法を紹介しているのですが、ある発想法ではこの3.と4.を無意識的活動、すなわち才能によってなせる技と見なしています。しかし他の発想法では意識的活動、すなわち凡人にも可能な手法としています。才能次第と言われると元も子も無いので、努力次第で達成できるのではと期待しておきます。

最後の5.について。気になったのは、「理解ある人の批判を仰ぐこと」という記載です。さらっと書いていますが、なかなか難しいことだと思います。「理解ある人」のアテがあること、さらに批判を真摯に受け入れてブラッシュアップできることが必要になります。

感想

本書はとても薄く、読むだけなら短時間で読めます。ただ上記で述べたように、さらっと難しいことが書いてあるので、そのためには具体的にどうすればよいか、というのを自分で突き進める必要があります。凡人の場合は1.と2.にしっかりと時間を費やすことができるような段取りを心がけておくことが、まずは第一歩かなと思いました。

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