理科系の作文技術 / 木下是雄

読書感想文
読書感想文

ブログをはじめてもうすぐ半年になるので、この辺で改めて基本を勉強します。

理科系の作文

本書の序章にて、理科系の文書の心得が説明されています。相手に正確な情報をを伝える文書、これが本書における理科系の文書と理解しました。仕事に応用できるような、相手にわかりやすく伝える文書を書くポイントが本書では説明されます。

具体的には、
 ・話の筋道がわかりやすい構成/順序にすること
 ・「~と思われる」等のあいまいな表現を避けること
 ・事実と意見を区別すること
などが具体的な例をもって説明されます。仕事が立て込んでくると相手のことを考えない文書になりがちなので、定期的にこのような基本に立ち返ることが必要と思いました。

本書では文書の作成技術以外にも、文書にまつわる教養がちりばめられています。その中から個人的に気になった言葉をメモしておきます。

レトリック

日本語で修辞学というと、華やかで人を感動させる技巧的な表現をイメージしていました。実際は本書の目的と同じく、相手にわかりやすく伝える手法なのですね。

アメリカでは一般教養として、このレトリックの科目があるそうです。Googleで“レトリック 必修”と検索すると、リーダー向けのビジネス本が多数ヒットしており、現在注目されている技術ともいえます。本書で基本を押さえたら、具体的なビジネス本にステップアップしてもよいかもしれません。

ステート

直訳すると、明確に述べる、などの意味が出てきます。筆者は論文中のstateやstatementのニュアンスを伝えるのに苦労するとのことです。自分の意見をはっきりと述べるという日本語が無いのは、そういう文化、習慣に乏しいことを意味するのかもしれません。(しれません、もあいまいな表現ですね。)

このstateは、アメリカの州や、国家そのものを意味する名詞でもあります。少し気になったので調べてみたところ、もともとの「状態」の意味が「国家」に転じるところまでは分かったのですが、そこから「意見を述べる」ところまでの成り立ちはわかりませんでした。勝手な想像ですが、欧米では戦乱を勝ち抜いた、自分たちの意見が通る集団が「国家」として成立するので、「意見を述べる」ことは「国家」と同じ意味なのかと思いました。

#2847. ''state'' と ''statistics''

相手に情報を伝える

伝え方の本は多数出版されていますが、その中でも本書は幅広い教養を挟みつつも簡潔にまとめた内容になっており、定番中の定番と言えるでしょう。

自分の意見が通らないことは、不満やストレスの原因にもなります。そういう不健康な状態に陥る前に、この技術を身に着けておくべきと思いました。

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