先の大戦中、日本は他国のインテリジェンスにやられたのだという解説を読んだことがあります(例:コミンテルンの謀略と日本の敗戦 (PHP新書))。一方、日本のインテリジェンスの評価はあまり聞いたことがありませんでした。
そもそもインテリジェンスをあまり知らないレベルだったので、この機会に歴史を学んでおこうと思いました。
インテリジェンスとは
インテリジェンスと言えば、諜報活動や、スパイの意味で理解していました。あまり表に出てこない存在というイメージがあります。
ネットで調べたところ、Wikipediaだと英語のIntelligenceとリンクしている日本語の記事は知能でした。ただし日本語では別にインテリジェンスの記事もあります。こちらはどの言語にも紐づいていません。そもそも日本ではあまり整理されていない概念なのかもしれません。
本書の訳者解説では、情報(Information)と情報(Intelligence)とで分けて説明してあります。それによると、Informationは未加工の生の情報、Intelligenceはある目的に向けて加工・生成されたプロダクトとのことであり、加工を経るので当然その良し悪しがあるあるのですが、認知バイアスを最小限にすることが優れたIntelligenceとのことです。
もちろん諜報活動と捉えて差し支えない場面もあると思いますが、実際はその上位概念であることを説明するために、オープンソースから情報を解析した例も示してありました。
日本のインテリジェンス
マッカーサーの政治的野望や米ソの冷戦もあり、日本は敗戦後も国体を維持したまま占領されることとなります。その裏で日本のインテリジェンスがカードの役割をしていたことは本書で初めて知りました。
米陸軍情報部の人材不足と重なっていたこともありますが、日本のインテリジェンスが必要とされたことは間違いありません。米国側から客観的にみても、価値のある存在であったことがわかります。これを活かすことができれば、ということも本書で述べられています。
インテリジェンスから学べるか
本書の登場人物はさらっと語学を習得し、人心掌握にたけています。この辺りはビジネスマンとしてもとても興味があるところなのですが、特に解説はありませんでした。むしろ、有望な人物をスカウトしていたようです。この辺は自分で身に着けるしかないのですかね。
インテリジェンスから学ぶべきは、やはり情報の扱い方ではないでしょうか。生の情報をいかに加工して分析するか、それをどのように戦略に活かすか。それだけ聞くと、普通の経済活動のようです。普遍的な部分を見出して、教養として有意義なものにしたいと思います。