自民党はなぜここまで壊れたのか / 倉山満

読書感想文
読書感想文

日本のリーダーが変わろうとする今、緊急出版されました。

筆者は政治史の本を多数出版していますが、今回は政治改革を軸にまとめられています。ただし随所で筆者の政治史の本も紹介されており、特に『沈鬱の平成政治史』とは被る内容も多いです。タイトル的には『なぜ日本の野党はダメなのか?』と対をなしており、今回はこの自民党版にあたると言えるでしょう。ただし『なぜ日本の野党は~』の方は本書では紹介されませんでしたが。

一般的に政治課題と言われる「政治とカネ」や、度々やり玉にあげられる「小選挙区制」。これらに問題があることは確かですが、本書は相対的な見方をしています。曰く、「昭和の政治からするとマシ」。現在が好ましい状態では無いにしても、昭和に戻すのは論外であると。

本質を議論するには、歴史を押さえたうえで現在地を把握しなければいけません。とはいえ、現代人が昭和の政治史を読んだところですぐに忘れてしまいます(私だけ?)。筆者が昭和の政治史について多数の本で繰り返し解説してくれたからこそ、本書が良く理解できたように思います。

官僚機構については、本書ではあまり重要な問題としては扱われません。官僚特有の思考回路を、もはや前提として捉えた上で、それを正せない政治家にこそ責任があるとしています。

日本の政治との比較対象として、イギリス、ドイツ、アメリカが登場します。特に立憲君主制のイギリスはよく引き合いに出されます。『嘘だらけの日英近現代史』で勉強したはずですが、ほとんど忘れていました。これは復習しなくては。政治教育、若手の抜擢、シンクタンクの活用など、一朝一夕で真似できるものでは無いですが、政治のあるべき姿として覚えておきたいです。

本書の最後には、国民主導の政治改革が語られています。政治の本質を見極めて、正しい要求を突きつけていきたいです。

参考動画
2024/7/14配信 田中角栄の評価から、リーダーの度量について
2024/7/21配信 「中選挙区制が良かった」に対する反論
2024/7/28配信 大出俊に象徴される日本の野党と、イギリス政治との比較
2024/8/4配信 令和の時事放談 メディアと政治家(田中角栄、三木武夫、中曾根康弘、竹下登、森喜朗、小泉純一郎、民主党、安倍晋三)
2024/9/1配信 浜田幸一について(本書のテーマ)
2024/9/8配信 自民党の歴史について(背景にも自民党の歴史が流れます)
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