社会的噓の終わりと新しい自由 / 渡瀬裕哉

読書感想文
読書感想文

自由(Liberty)がテーマですが、似た言葉にリベラル(Liberal)とリバタリアン(Libertarian)があって混乱しそうなテーマでもあります。(参考:Wikipediaノーランチャート

日本社会の息苦しさ

表紙には英題でAuthoritarianism versus the New Freedomとあります。直訳すると「権威主義 対 新しい自由」です。Authoritarianism/権威主義は聞き慣れない単語ですが、英語のWikipediaはやたら文量が多いです。本書はまず権威主義の説明から始まります。

日本もこの権威主義に属するというのが本書の主張です。ただプーチンや習近平のようなわかりやすい権威ではなく、ジェンダー・環境・福祉といった目に見えない形の権威に支配されています。

ちょうど最近読んだ本がこの問題点を指摘していましたが、本書ではさらにその本質にあたる部分を紐解いてくれました。

(最近読んだ息苦しい本)

自由な社会

本書の前半で権威主義の本質について説明したのち、後半では自由な社会の「あり方」「生き方」について展開しています。ちなみに政治家に訴える方法としては、筆者の過去作『税金下げろ、規制をなくせ』の方が詳しいです。本書では各個人のライフスタイルのモデルケースや、自己を研鑽するための方法が提案されています。

興味深かったのは、分断が解消された社会ではなく、分断を解消する必要が無い社会を想定していることです。内心の自由が尊重され、かつ衝突することのない社会。余計なことをしなければ、自ずとうまく回るのかもしれません。

自由を得るために

『第4章「自由な社会」の人生の生き方』では、自由な社会に適応するための能力が示されています。

自身にとって痛い話だったのが、自律的・主体的に生きるために、一つの場に依存しない生き方です。会社に依存している自身にとっては身をつまされる話でした。

本書では具体的なビジネススキルは紹介してくれません。そもそもそのような押し付けが息苦しいという趣旨なので、個人の自由に委ねられます。自己分析を通して、自分の人生を設計する必要があります。

自由の厳しさと豊かさを示して、本書は締め括られてれています。自由を勝ち取る、といった強い表現ではなく、自由は『傍らに存在』しているという表現が印象的でした。傍らの自由を一つ一つ形にしていきたいです。

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