中学・高校時代は国語の成績に悩まされたので、いまだに国語力にコンプレックスがあります。そんな卑屈な思いを抱えて本書を読むと、なかなか素直には読めないですよね。
筆者のプロフィールによると、貧困問題を得意分野としたライターのようです。貧困家庭の子供たちが直面する問題を、本書では国語力に絡めて追究していきます。基本的には、昔に比べて今の子供たちは国語力が落ちたという説が展開されます。一方で、その原因の一つは家庭環境にあるそうです。すると、子供たちの親世代の国語力が気になるところですが、そこまでは本書の範囲でないようです。
また教育政策について、エリート官僚には貧困家庭の問題はわからないとして、フリースクールの取り組みを紹介しています。不登校の子供たちが徐々に言葉の使い方を覚えていく様子は、国語力が社会性の基礎となっていることを実感させられました。このような国語力を軸とした支援活動は今後も発展させるべきだと思います。
一方、本書の後半はエリート学校の取り組みを紹介しています。エリート官僚を批判していた前半の筆者と同一人物なのでしょうか?この展開は頭を悩ませました。
「最近の若い者は」という定番のエンタメとして気軽に楽しむ本かもしれませんね。
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