サラ金の歴史 / 小島庸平

読書感想文
読書感想文

最近クレジットカードをポイント還元率が高いものに切り替えたのですが、やたらとリボ払いに誘導するシステムだったので最初は気を使いました。そんな仕様に慣れてきたところで、そういえば以前面白そうな本を見かけたことを思い出しました。

現在アラフォーの自分が学生時代のころは、本書で言うところのサラ金絶頂期の時代にあたるそうです。CMにチワワや小野真弓が出ていた頃ですね。明るくて好感度の高いCMを、親が冷ややかに見ていたことを思い出します。

インパクトのあるタイトルからはドラマチックな展開を想像してしまいますが、本書ではあくまで金融技術という視点を中心に消費者金融の歴史をたどっています。とはいえ専門的な金融知識はあまり必要が無く、主に財務管理やリスク管理の話なので、一般社会の知識だけでも読み進めることができました。

消費者金融が下火となるきっかけとなった2006年の改正賃金業法の章では、検察庁の定年延長でおなじみ森雅子や、都知事選次点の宇都宮健児などが中心人物として登場します。意外な形でこれらの方々の本業を知ることができました。

消費者金融の通史が淡々と進んでいくのですが、終章から「おわりに」にかけては筆者の強いメッセージが込められていました。いわゆる「高利貸し」に憎悪を向けることが果たして正しいのか、この問題は他人事ではない、という問いかけです。

自分には関係ないと思っていたこの世界ですが、本書を読んでいるうちに勤めている会社も私自身もメインバンクは消費者金融の親会社であることに気づきました。金融システムを利用している時点で、誰しもが間接的な関わりを持ちうる存在です。

他人事ではない、ましてや一方的に断罪することもができない、社会の一端を垣間見ることができました。

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