救国のアーカイブ / 倉山満

読書感想文
読書感想文

戦争からコロナまで、アーカイブがカギとなります。

注目される公文書管理

今年の国会を賑わせた小西vs高市、個人的には以下の論点に注目しました。

・野党議員&官僚&メディアのチーム(参考:官報複合体
・放送法の意義(参考:チャンネルくらら 放送法4条「政治的公平性」は不要!?
・公文書管理

今回はこのうち公文書管理について、本書で勉強しました。元々2021年の発売当初に一読していたのですが、以下動画を見たときにあまり理解していなかったことに気づかされたので、改めて読みなおしました。

参考動画

本書にも小西氏は出てきます。2020年に安倍政権が黒川検事長を定年延長させようとした際に、1980年の公文書を元に批判を展開していました。すなわち、公文書を使いこなす事例として登場します。ただ政治家の発言は政局が絡むと解釈が難しくなるので、論点を一つ一つ整理する必要があります。

何を管理するか、どこに公開するか

本書では主に公文書に関して歴史を交えて解説していますが、アーカイブ自体は文書の整理技術なので、その対象範囲は広いです。そこで民間での文書管理にも使えないかと思いながら読み進めました。身の回りで人材の流動性が高まっているのを感じるので、アーカイブを用いた組織知の構築は今後大きな課題となる予感がしています。

アーカイブの基本的なことについては、まずは何を管理するか、何を公開するかをしっかりと抑えておこうと思いました。限られた業務時間の中で「何を」管理するのかですが、公文書の場合の原則は『意思決定に関与した文書』です。これはアーカイブを用いて何をしたいか、利用目的から逆算すれば自ずと文書管理の優先順位が決まると思います。

さらに何を公開するか、公文書の場合は『安全保障に関する情報と個人情報は例外』です。ここで重要になるのは、『普段から整理できている』ことです。民間の場合は開示範囲は全く異なると思いますが、整理が必要であることは共通ですね。ただし整理するための分類方法は悩みの種なので、この技術は改めてどこかで深堀しておきたいです。

文書管理の課題

公文書管理の課題として、『官僚無謬性神話』が挙げられています。後で間違いを指摘されたくない病気です。だから廃棄や改ざんといった発想になります。民間だとそこまで完璧を求められないでしょうが、余計な責任を背負いたくないのは同じだと思います。

『人間なのだから過ちはあって当然』という開き直りが必要です。むしろそれを補完するのがアーカイブの意義にもなります。未来につながる文書管理ができるのが理想ですね。

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