排出権商人 / 黒木亮

読書感想文
読書感想文

GX-ETSとかいう怪しい制度を調べている時に、本書の存在を知りました。雑誌への連載時期は2008年で、書籍化は2009年です。基本的には、筆者の以下の記事に沿った内容になっています。

排出量取引「濡れ手に粟」の高笑い(1)
中国国内ではチベットと並ぶ政情不安地域である新疆ウイグル自治区で、今、二酸化炭素排出権ビジネスが盛んに行われている。(全3回)

これに当時の粉飾決算など時事ネタを織り交ぜて、メーカー、金融機関、(元)官僚をはじめとした、幅広い登場人物の思惑が交錯するドラマに仕上がっています。現場の描写が非常に細かいと思いましたが、世界11カ国に取材したと以下の記事にありました。納得です。

利権にうごめくしたたかな「商人」たち--『排出権商人』を書いた黒木亮氏(作家)に聞く
--12月にコペンハーゲンで第15回の気候変動枠組条約締約国会議(COP15)が開催されます。絶妙なタイミングでの刊行です。たまたま、この時期になった。経済小説はタイミングを合わせようとしても、そうう…

当時から15年経過した現在では、京都議定書こそ離脱したものの、新たな枠組みが次々と生まれています。環境系の過激な活動家も台頭しており、息苦しい世の中になってきました。こういう時に必要なのは「商人」としての視点かもしれません。したたかに生き残ることができるよう、バランスを間違えないようにしたいです。

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