本屋の科学コーナーに、気になるタイトルとキャッチーな表紙を見つけました。立ち読みすると硬派な内容に感じたので、読んでみることにしました。
副題は『世界を変えた7つの小さな発明』で、今では一つの小さな部品に過ぎないよう発明について、物理的な機構の説明と発明ストーリーが解説されます。その発明は、
- NAIL 釘
- WHEEL 車輪
- SPRING ばね
- MAGNET 磁石
- LENS レンズ
- SPRING ひも
- PUMP ポンプ
の7つで、どれも今の生活に欠かせないものです。
筆者は物理学者だけあって、これらの機械的な機構について詳細に説明してあります。非常に難しいです。4章に登場する「テレビの父」高柳健次郎は、本書で唯一の日本人なので興味があったのですが、テレビのメカニズムが難しくて苦戦しました。
本書に出てくる物理現象は半分も理解できなかったと思うのですが、それでも各発明に関するストーリーが魅力的なので、思わず読み進めてしまいます。
中でも筆者が出産、子育てに奮闘する5章や7章は、発明本ということを感じさせないドラマチックな展開に夢中になりました。科学技術の進歩があったからこそ、生まれる物語があるのですね。
あとがきでは「私たちは何者か」という哲学的な問いがなされます。各章ではミクロな構成要素に焦点を当ててきましたが、最後にそこから一歩引くと、身の回りが違って見えてきます。大作の映画を見た後に、外の景色が違って見える感覚を思い出しました。
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