「義経」愚将論 源平合戦に見る失敗の本質 / 海上知明

読書感想文
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大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でいよいよ義経が動き出しました。ドラマでの義経の描写は本書に近い気がします。特に頼朝との血のつながりがハイライトされていますね。逆にそれが無ければ…。

分析にあたって

いわゆる「天才」「名将」のイメージを覆すことが本書のテーマだと思いますが、参考にすべきはそのアプローチではないでしょうか。まず資料が限られた歴史上の人物であり、今回の主役は特に謎が多いです。その中で、限られた文献のそれぞれの傾向(過剰な表現)を把握したうえで、的確に推定していく帰納的なアプローチがあります。さらに孫子・マキャベリ・クラウゼヴィッツなどの文献に出てくる一般論を参考に、人物の評価を行う演繹的なアプローチを合わせて展開しています。まさにロジカルシンキングの実践編たど思いました。

誤解された成功例?

著者が繰り返し訴えているのは、結果論で評価することの危うさです。成功した結果だけをみて、それを疑いもせず実践すること。成功体験を参考にして学習すること自体は真っ当なことですが、本質を見誤っている場合は問題です。なぜ成功したのか一度掘り下げ、客観的に見てどうか判断する事、その検証が必要なのです。

義経が本当に実力者で、頼朝の権力を危うくさせる存在だとしたら、そもそも暗殺されているそうです。鎌倉から遠ざけられるだけで、本格的に命を狙われていなかったことが、義経が大陸に渡ったかのような伝説話が生まれる元になったようですね。

結果だけでなく、本質を見極める

たとえ成功したように見えても、それが原理原則に則ったものかを検証しないといけません。ビジネス的な言い方をすると、再現性とか持続可能性でしょうか。私のような結果オーライで生きてきた身にとっては痛い話になりました。

ただし演繹的に検証するにしても、そのためには一般論や教養を身につけていることが前提になります。まずは自分のものさしを作っておかないといけません。本書で言うところの孫子・マキャベリ・クラウゼヴィッツですね。これはなかなか手強そうです。そのうちここで紹介できたらいいな。

(参考動画、他にも多数あります)

「義経」愚将論 源平合戦に見る失敗の本質
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