長坂真護展 ー上野の森美術館ー

その他
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環境への関心が高まる中、各企業にも環境への配慮が求められています。無駄を削減する取り組みならともかく、コストの増加につながる施策も多々あります。例えば廃棄物のリサイクルなどは、規模によっては原料コストが上がるにもかかわらず、品質が下がることもあります。コスト増分の価格転嫁を受け入れてもらうには、相当のストーリーを準備する必要があります。

そんな中、廃棄物を使って億単位の売り上げをたたき出す芸術家がいることを知りました。しかも私と同世代。そこで上野に行く用事と合わせて、その作家の個展、長坂真護展に行ってきました。

世界中から電子機器の廃棄物、e-wasteが大量に集まるガーナのスラム、アグボグブロシーで、作品の原料となる廃棄物を集めて作品を作り上げるそうです。どうやって廃棄物がアグボグブロシーに集まるのかのルートが気になるところですが、Wikipediaを見てもよく理解できませんでした。細かい法の抜け穴はあるそうですが、そもそもガーナ側には何の目的があるのか。まぁ、とにかく資本主義に原因があるそうで、それに対する疑問やアンチテーゼがこの展示の趣旨のようです。

それでは展示の内容へ。

入り口の看板です。

日影がちょうど絵の周りにかかり、自然と絵にスポットを当ててくれました。

廃棄物を使った作品が並びます。

こちらは廃棄物を土台にして国旗のデザインをペイントした作品。

日本の国旗には日本メーカーの電子機器が並びます。わざわざ企業のマークの部分には塗装を剥がして、メーカーがわかるようにしていました。

こちらは車の作品

TOYOTAのエンブレムを目立つように配置しています。

全体として、資本主義に対する疑問がベースにあることは確かなようです。ただし、TOYOTAをはじめとして、SONYやNintendoなどの有名メーカーのロゴを前面に出している作品も多く、資本主義に乗っかている印象も受けました。

資本主義に対する疑問を掲げながら、作品に付加価値を出すために廃棄物の中からTOYOTAのエンブレムを探し出す。これが価格を上げる秘訣なのだと理解しました。芸術はきれいごとではないのです。

この作家には、ガーナにリサイクル工場を建設するなどの構想もあるそうです。廃プラをコンクリートに混ぜる、いわゆるカスケードリサイクルだそうで、一見コストアップ、品質ダウンに見えますが、アートや貧困という文脈があれば立派な高付加価値製品です。今後の展開に期待しています。

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