初めて読んだときは、自分には関係のない話だと思いましたが、改めてこの本の意義を考えてみました。
再読したきっかけ
2022年5月28日にテロリストの重信房子が刑期満了で出所したことが一部で話題になっていました。犯罪者の出所ですが、いささかキャチーな報道がされていたので、とても違和感を感じました。そこで、改めて活動家の類の本質を理解しておこうと、本書を読みなおすことにしました。
学生運動とは何だったのか
本書を読むと、学生運動の内側が見えてきます。イベント系サークル、より具体的には出会い系サークルに近いと思います。はっきり言って、お祭りです。
この時代を舞台にした作品は多数あります。村上龍の「69 sixty nine」では言わば学生運動のパロディをしていますし、村上春樹の「ノルウェイの森」ではやれやれと言ってあまり相手にしてません。さて本書では、地に足がつかない状態でお祭りをやった挙句、現実に突き落とされてそのまま砕けてしまいました。
大人になってから教養として哲学や宗教について考えるようになりましたが、逆に言うとそれまでいかに無知だったということを思い知らされています。そもそも一般的な中学・高校生が学ぶのは受験勉強であり、リベラルアーツに触れる機会は限られると思います。そんな状態で大した思想など成立するわけがないのが現実でしょうね。
過激な思想と距離をとる
今回の重信房子の出所で、過激的な思想が一部でもてはやされることを再確認しました。そもそもメディアは注目されることが商売なので、過激な活動をもてはやします。映画の世界でも藤井道人監督&河村光庸プロデューサーが「新聞記者」と「ヤクザと家族 The Family」を続けて生み出していますし、メディアと暴力とは同じジャンルだという認識が必要です。
これが権威主義国家だと危険な思想を取り締まることができるのですが、自由主義国家である以上は、ある程度自分で防衛しないといけません。
「若いんだから何をしてもいいだろう」
「こっちは搾取されてきたんだから何をしてもいいだろう」
「相手が権力者だから何をしてもいいだろう」
という考えはとは距離を置く姿勢を心がけておかないと、間接的にこのような思想がのさばることにつながりかねません。
ただフィクションとして観るは分には面白いんですよね。難しいところです。
以下、参考動画(本書と関係は無いのですが、背景として)