白鯨 / メルヴィル (岩波文庫)

読書感想文
読書感想文

読み終えるのに2週間かかりました…。普通の読書家の方はこれくらいさらっと読むのでしょうか。ちなみに写真はマッコウクジラでなく、シロイルカです。

読むきっかけ

様々な作品に出てくるので、ずっと興味はありました。特に細田守の映画「バケモノの子」に出てくるクジラは作品の中でも象徴的な存在なので、そのバックグラウンドを知りたいと思いました。ただ本が分厚いので、ずっと避けてました。それから村上春樹の「騎士団長殺し」でも本書が少し出てきたかと思うと、細田守の「竜とそばかすの姫」にもクジラが出てきたので、そろそろ読んでおくかと思いました。

覚悟を決めたのはよいのですが、少しでも負担の少なそうなものをと思い調べたところ、岩波文庫版が一番読みやすいとのことなので、こちらを選びました。今回は難解な文章を楽しむことよりも、最後まで読み終えることが目的だったので。とはいえ、岩波文庫版でも私には十分難しかったのですが。

楽しみ方

本書は「知的ごった煮」と称されるように、大量のクジラの説明に加えて視点や文体も乱雑に入れ替わります。訳者の解説でも、各章の配置の必然性について言及されているほどです。

慣れてくれば、膨大なクジラの説明も楽しくなってきます。例えるならば、村上春樹の音楽ネタ、タランティーノの映画ネタ、くりぃむしちゅーのプロレスネタのように、初見では意味はよくわからないけどなんだか面白い、といった感じです。この楽しみ方が合っているのかはわかりませんが…。

通常の目的から逸脱した航海を通して、いわゆる人間の業のようなものに迫っていきます。大まか流れとしては重厚でハラハラする展開なのですが、あちらこちらに話が飛びます。そのたびに読み手には混乱をきたしますが、丁寧な訳注に大分助けられ、読み進めることができました。

読み終えました

途中で飽きたり読み飛ばしたくなることは多々ありましたが、一応読み終えることはできました。それは年を取って気が長くなっただけではなく、これまでの教養が少しずつリンクしてきたからと思いたいです。

途中でサメが群がる場面は「老人と海」を思い出しましたし、随所に出てくる神話や聖書の話も5%くらいはピンとくるものがありました。スケールが大きいという表現では物足りない、壮大で雑駁な物語でした。十年後に読み返したらもっと面白くなる作品かもしれません。ただ今は燃え尽きてしまったので、そんな気は全く起きませんが。

白鯨 上 (岩波文庫)
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