自分の中の減税本の位置づけは、税金下げろ、規制をなくせが入門編、現代アメリカ保守主義運動小史が中級編で、本書は上級編だと思ってました。しかし本書の帯には「入門書」と書いてあります。このボリュームで入門レベルなので、まだまだ道は険しいです。
本書ではアメリカ政治を、
the Leave US Alone Coalition:放っておいてくれ連合
the Takings Coalition:もっと寄こせ連合
の2つの勢力に分けて説明しています。本書の立場は当然Leave US Alone、税金下げろ、規制をなくせでいうところの「税金下げろ連合」です。
この連合の理想をどうやって実現するか、どう選挙で勝つかが本書のテーマです。そのため、具体的な数字、すなわち票数が随所に出てきます。黒人やヒスパニックをひとまとめにせず、その中での票数の内訳を考える実践的な内容です。現代アメリカ保守主義運動小史では政治用語や政治家の名前に苦戦しましたが、今回はさらにに多くの知識が必要なので、減税初心者には一読して理解できるような本ではありませんでした。
まずは一歩ずつということで、今回個人的に勉強になったのは箇所をおさらいしておきます。それは、有権者それぞれの関心を合わせた和集合で支持を広げていくことです。ここでは集合を図示したベン図が出てきます。ベン図の代表例として、以下記事を引用しておきます。
保守派の有権者といっても、それぞれの思いは様々です。銃の保持、人工中絶、教育、宗教…。これらのすべてを満たす候補者を求めていたら、とても「もっと寄こせ連合」には対抗できません。そこで、その上位概念の「放っておいてくれ」の理念で協力することが必要になります。
日本の政党はいずれも「もっと寄こせ」なので単純に比較はできませんが、野党が共闘することはよくあります。自分の食い扶持がかかっている連中は必死です。それが戦う相手なのだということを理解しなければいけません。
一つ一つの細かい争点にとらわれがちですが、それを広くとらえて票の塊にしていかなければいけません。選挙の勉強をしているのか、マネジメントの勉強をしているのかわからなくなってきました。人生も政治活動ですね。
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