インドについて歴史や宗教などの観点から解説された本はありますが、「現在のインドの立ち位置」を理解するには本書が最適ではないでしょうか。
2022年に日米豪印のクアッドが開催されたときの印象で、なんとなく日本の味方のようにイメージしていました。中国という共通の問題国を隣国に持つことから、分かり合えるのではと。本書はそんな単純な考えを諭すように、かなり易しい文章でインドを解説してくれます。中国と対立するからといって西側に与するわけでもなく、あくまで「プラグマティック」に立ち振る舞うのがインドであると。
現在のインドに至るまでに、1990年代以降のグローバル化がナショナリズムを刺激したという潮流があります。インドのナショナリズムは他の本(いずれ感想文書きます)でも出てきた特徴です。周辺のイスラム諸国との違いでもあります。ヒンドゥー教の地域が限定的であることや、イギリスの植民地支配の歴史など、様々な要因が相まってインドのナショナリズムが形成されています。
このナショナリズムによって、欧米に価値観を押し付けられるいわれは無いという矜持を持っています。インドの価値観はともかく、この強気の姿勢は日本の政治家も見習ってほしいものです。
そんなインドとどう付き合うのか、本書の一つの提案が「ビジネスライク」な関係です。価値観を共にするわけでは無く、あくまで実利を優先させた大人の付き合いです。
国家の話を個人に持ち込むのもどうかと思いますが、これは人づきあいが苦手な自分も多いに参考になる話です。気難しい国を理解することは、社会を生き抜くヒントにもつながるのではと思いました。
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