以前からこの筆者は今年の日銀総裁人事が非常に重要と訴えていました。それが植田和男氏に決まったタイミングで、満を持して本作が出版されました。
メディアが報じる経済
以前から経済に関心はあったのですが、ニュースを見てもなかなか理解しずらい分野でした。それはメディアの経済の扱い方に問題があるようです。日経新聞は『世間の様子・反応を確認する「観測気球」』であるというのが本書の評価です。直近読んだ官報複合体の筆者がまさしく元日経新聞記者であったので、図らずも日経の実態を繰り返し目にすることになりました。
日経を含む大手メディアは、財務省・日銀がそれぞれ目指す増税・金融引き締めに沿った形で報道するので、それだけを読んでいてもなかなか経済の理解が進みません。そこで、本書では主にマクロ経済の基礎的なポイントについて解説してくれます。
本書に登場する組織・人物
個人的なメモも兼ねて、本書に登場する方々をまとめました。
日本銀行
本書の終章は『日本銀行とは何か?すべてである』と題してあり、今後の日銀を監視していくことが重要であると結論付けています。戦後の日銀総裁の顔触れや、各々の方針がまとめてあるのですが、自分の給料や会社の業績とかなり連動していたのに驚きました。日銀がすべてであるとの表現は、大袈裟でないと思います。
財務省
こちらも日本経済に大きな影響を与えます。本書で主に取り上げているのは消費税と日銀への天下りです。
政治家
当然ですが日本経済を担う存在です。ただし政治家の仕事は経済以外に山ほどあります。特に選挙。そこで経済政策が官僚の言いなりにならないように、筆者のシンクタンクでは政治家のサポートをしています。
経済学者
最低限押さえておくべき人物としてアダム・スミス、およびケインズが登場します。初歩中の初歩だと思うのですが、当方本書で初めて理解しました。お恥ずかしい…。
経済学の本書がカバーする部分
本書はタイトルは広い表現になっていますが、以下に貼った上念氏との対談動画で語られている通り、経済の歴史が主な内容です。個人的には、上念氏の経済で読み解く日本史に挑戦する前に読んでおくと、理解がスムーズに進むかと思います。刊行順は逆ですが。
また本書は日銀のような大きな視点、すなわちマクロ経済にスポットを当てています。一方で個別の民間企業を扱うのはミクロ経済学になります。本書でも言われている『民間には任せられない』に反論するには、この両方をしっかり押さえる必要があると感じました。
ということで、引き続き経済の勉強を継続します。どこから手を付けてよいか模索中ですが。
参考動画(久々の組み合わせ?)