都会の鳥の生態学 / 唐沢孝一

読書感想文
読書感想文

都会で見られる野鳥を探していたら、面白そうなネット記事が見つかりました。

東京上空の勢力図に異変…オオタカが明治神宮で、ハヤブサが六本木ヒルズで繁殖…カラスが東京から消える「ヤバすぎる未来」(週刊現代) @moneygendai
東京の空の勢力図が変わろうとしている。都市生態系の頂点であるカラスにタカなどの猛禽類が挑戦状を突き付けたのだ。彼らはなぜ東京に来たのか。鳥たちが繰り広げる熱い「空中ドラマ」に迫る。
カラスの天下が終わる…都心制圧を目指す大型猛禽類…天敵と手を組む小鳥たち…都会鳥による「仁義なき戦い」がヤバすぎる(週刊現代) @moneygendai
東京都心を俯瞰すると、2つの環境が混在していることが分かる。一つは皇居、明治神宮、自然教育園(港区)などの「都市緑地」。そして、もう一つは東京駅や新宿駅周辺などにある「超高層ビル群」だ。前者に定着したのが、オオタカである。具体的な個体数は判...

低俗週刊誌なのでタイトルが下品なのはご愛嬌ですが、意外と中身がしっかりしていたので、この記事の元になった本を読んでみることにしました。

元高校生物教師の筆者は1970年代から多数の本を執筆しており、本書は2023年傘寿の年に出版されました。長年の知見が詰まった集大成ともいえる作品で、タイトルこそ「生態学」ですが、高度経済成長からの東京の歴史を振り返る一冊にもなっています。

野鳥&東京初心者の自分には新鮮な話ばかりで、皇居付近の三井物産ビルにカルガモが住んでいたことも初めて知りました。そもそも人工池があった事も知らなかったと思ったら、すでに今は無いようです。東京の街は移り変わりが激しいですね。

東京・大手町、2020年に向け大変貌 くつろぎの街へ - 日本経済新聞
日本経済新聞社の本社がある東京・大手町は、再開発のまっただ中にある。今もあちこちで工事が続き、街の風景は刻一刻と変わっていく。この先、大手町はどうなるのか。どんな施設が生まれるのか。2020年東京五輪に向けて変貌しつつある大手町の将来像を探...

本書では主にカラス、スズメ、ツバメなどが登場しますが、これらは都会の変化に対応して生き延びてきた種類です。その裏で対応できず消えていった鳥についても最後に触れられています。筆者は都会の鳥を時代を写す鏡と表現していますが、だとすればカラスや猛禽類の変化などは、新しい時代の到来を象徴しているのかもしれません(大げさ)。

長く観察し続けたからこそ見えてくるものがあるということで、これからも引き続き野鳥を追いかけていこうと思いました。

関連動画

この感想文を書いている時に偶然この動画を見つけました。本書と同じく都会の身近な鳥を紹介しています。私も2年前はメジロをウグイスと間違えてました…。

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