物語にも、読みごろの時期や旬があることをこの本で初めて知りました。
本書のタイトルにある「天下」、そして帯の宣伝文句「かってなく 最高の主人公、現る!」。読む前は、切れ者の主人公が世界に飛び出す痛快な物語を想像していました。しかし読んだ後には、予想外に心温まる思いがしました。
適度な個性の登場人物がコロナ禍特有の距離感で「最高の主人公」と暮らしている、と言うのが率直な感想です。なんと下手くそな表現…。やはり読んでもらうには、主人公の個性を前面に出すのが良いですね。そんな宣伝のおかげで私もこの本に出合うことができました。
コロナ禍でも人は生き続けるし、出会いや別れもあります。普通の生活が戻り、心に余裕が生まれてきた今だからこそ、この物語に心を打たれるのかもしれません。
そんな旬な作品なので、今しか感じられないものがあると思います。実写化するのかはわかりませんが、その映像が出回る前に、想像が膨らむ活字で読めて幸せです。
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