火花 / 又吉直樹

読書感想文
読書感想文

本書は2015年に芥川賞をとった直後に気になって、kindleで買って読んでました。その当時は、タレント本にしてはしっかりしてる本だなぁ、くらいにしか思っていませんでした。しかし改めて読んでみたところ、一度読んだ本とは思えないほど心を揺さぶられました。

今回読み直したきっかけは三つあります。一つ目は最近昭和の芸人の本(浅草キッド御乱心)を続けて読んでいたので、平成の本も読んでみようと思ったこと。二つ目は先日行った寄席の芸に圧倒されて、芸人の背景に対して興味がわいたこと。三つ目は最近あちこちオードリー(テレビ東京)に筆者が出演していたことが頭に残っていたことです。

筆者はすでに作家として定着しているので、今回は本作をタレント本ではなく純文学作品と見なして読みました。2015年に初めて読んだ時とは全く心構えが違う状態で臨みました。読む前から勝負は決まっていたともいえます。選考委員の方などは、こういう話題になった本をフラットな目で評価できるのですね。

ラストの結末は今回の方が衝撃を受けたかもしれません。世間を気にして表現する葛藤は、ポリコレが幅を利かせている現在の方がより厳しい状況ですので、作中の息苦しさや悲喜こもごもがより鋭くなった印象を受けました。

当ブログを始めて1年間、振り返ってみると「自由」をテーマにした本をよく読んでいるのに気が付きました。このタイミングで本作を再読したのも何かの因果かもしれません。時代を経てこの作品が色あせるのかがある意味楽しみです。

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