救国シンクタンクの翻訳叢書プロジェクト第二弾。アメリカ関連で目にする本と言えば、民主党寄りの言論か怪しい陰謀論が多いので、まともな保守系の本が読めるのはありがたいです。
著者のニュート・ギングリッチ氏は、元下院議長や元大統領候補として知られるアメリカ共和党の政治家で、減税や財政均衡政策などの実績があります。原著のAmazonページでの著者紹介では41冊の著作があるそうですが、日本語訳されたのは本作を含めて2冊のようでした。
(広告リンク)Defeating Big Government Socialism: Saving America’s Future (English Edition)
アメリカの自由主義路線の本は数冊読んできましたが、本書の特徴はアメリカ建国の歴史と合衆国憲法に基づいて説明される点です。そこからアメリカの文化や宗教が形成され、社会や教育など様々な政策における保守派の主張が展開されます。
本書の原著は2022年出版で、まだCOVID-19が猛威を振るっていた時代です。筆者は当時の混乱を引き起こした民主党政権を批判していますが、正直COVID-19については成功事例を知らないので、ここは理解が及びませんでした(果たして共和党政権だったらうまく対処できたのか、がわかりませんでした)。
財政政策について、政府が身の丈以上の支出をするべきではないという話は同感です。ただ金融政策に関して、インフレが無い方が望ましいという説には違和感を覚えました。にわかに経済本を読んで中途半端に勉強した状態では、この辺りの真意をつかむのは難しいです。日本の状況とも違いますし。
完全統制社会を描いたジョージ・オーウェルの『1984』が数回登場しますが、この辺りは政治家の本らしいなと思いました。立場を問わず、相手陣営を攻撃するのによく用いられる本です。それもあって、本書はやや引き気味に読んでしまいました。政治家の発言は本音と建前があり解釈が難しいので、真意を読み解くにはもう少し政治の勉強と社会経験が必要かもしれません。
アメリカ保守系の本を少しずつ勉強しています。本書が政治家目線、『現代アメリカ保守主義運動小史』が歴史家目線、『Leave US Alone』が活動家目線なので、一通りの立場は押さえることができたかなと。もちろん要復習ですが。
日本で自由主義を普及させるにはどうするか。やはり日本に根差した価値観に基づいて進めるべきであり、その一つが皇室だと思います。
本書で初めて知った批判理論(批評理論)。どうやらリベラル側のベースになっている考え方のようです。取っつきやすい資料がなかなか見つからなかったので、とりあえず以下サイトを参考にしています。