子供向けの本かと思ったら、分厚くて驚きました。小学生の時にこんな量読めたかな…。
タイトルから
ハイウェイという響きからは、ペンギンが高速で行き交うのかと思いましたが、ただのペンギンの通り道だそうです。いわゆる獣道のようなものですね。自分たちのあとに道ができる。ファーストペンギンという言葉もあるように、ペンギンは挑戦者や開拓者に例えられます。ペンギンに言わせれば、普通の人生、ならぬ鳥生を過ごしているだけなのでしょうが。
そのペンギンの通り道を研究するのが主人公の少年です。足跡をたどるという行為は、好奇心旺盛な小学生に似合う話ですが、研究や分析の仕事でも一般的なことですよね。大人になってもこの少年の研究にはワクワクします。
名前の無い土地、ペンギン、クジラ
本作には町の名前が出てきません。県境とか、海辺の街など、抽象的な表現が使われています。読者の想像力にお任せするスタンスですかね。各々の持つ田舎の原風景によって、この世界の印象は変わるのではないでしょうか。私の想像力は読み解くに値したのだろうか。
ペンギンやクジラも象徴的に出てきます。おそらく見たままのイメージが本作の役割なのでしょう。1羽から大群まで絵になるのは、ペンギンならではだと思います。野生のペンギンは大群ですからね。本作のペンギンは水族館よりも野生に近いのではと思いました。
ラストの印象
読み終わったすぐは、もしかしたらバッドエンドなのかなと思いました。トラウマを植え付けられた主人公が、マッドサイエンティストになっていく後日談を勝手に想像していました。錬金術の禁忌に手を出してしまったり…。冷静に考えてそんなわけないと、いろんな方の感想を検索しましたが、やはり普通にポジティブな結末と捉えれば良いようですでした。ひねくれすぎですかね。
SF成長物語ですが、肝心なところは科学で解明できず、言葉にならないまま終わります。理屈っぽい面をちりばめておいて、最後は情緒的な感情で締めくくる、という世界の広がりを感じるのが正しい楽しみ方だと思いました。