鏑木清方展に行って、たけくらべを考えた 東京国立近代美術館

その他
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美術館に行く機会はあまりないのですが、なぜかこの展示には興味がありました。庶民の生活をテーマにしているからか、身近に感じたのもしれません。

チケットにも印刷されている<築地明石町>など、いわゆる美人画が中心ではありますが、その他にも物語や落語、歌舞伎を描いた作品が多数展示されていました。
個人的には樋口一葉の「たけくらべ」が特に印象に残りました。というよりは、教養不足で娘道成寺などにピンとこなかったことが原因ですが…。
そこで少し「たけくらべ」の話を。

集英社文庫「たけくらべ」のカバーイラストに違和感を持ったのは私だけではないはず…。なんだかもっちゃりした幼児のようで。最近新しいカバーイラストになっていますが、こちらは目がぱっちりして最近のアニメっぽいですね。
(とはいえ巻末の観賞・俵万智のおかげで本作の価値が理解できました、と集英社文庫版を持ち上げておきます)

鏑木清方の<たけくらべの美登利>はどういうわけか、すんなりと受け入れることができました。明治の文学作品を明治の画家が描いたからでしょうか。

落語にも吉原遊郭を舞台にした多数の廓話があります。ただ「たけくらべ」のように、美登利の身に実際に何が起きたのかを明確にしない物語は、文学作品こそできる表現だと思います。それを描いた絵画ということで、自然とハードルが上がってしまうものですが、作品の世界観を崩さないばかりか、むしろ明治を知らない身からすると相補的な作用を感じてしまいました。

絵画に明るくない者が、何とか教養を絞り出して美術館を楽しんだ話でした。

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