ペンギンは歴史にもクチバシをはさむ / 植田一生

読書感想文
読書感想文

ブログ開始当初はペンギンの記事を頻繁に書いていたのですが、いつの間にか野鳥観察の方が多くなっていました。久々のペンギン本を読み終えた今日、ちょうど筆者がラジオに出演されていたので、何かの縁を感じました。そういえば4/25は世界ペンギンの日でしたね。

動物×歴史の組み合わせの本では、最近中国パンダ外交史を読んだばかりでした。どちらの本にも共通して、「なぜ可愛いのか」という疑問を取り上げている点は興味深かったです。ただペンギンがパンダと違うのは、その種類が多いことはもちろんですが、可愛らしさを切り取ったキャラクター像と野生でのたくましい面とにギャップがあることです。筆者が日本でのペンギンイメージを受け入れつつも、もっと他のリアルな面も紹介したいという思いが伝わってきました。

本書はペンギンの通史が無いからと、筆者が自分で制作した唯一無二の本です。ペンギンに関する出来事を並べるだけでなく、その背景について様々な角度から解説を加えています。19世紀に絶滅したオオウミガラスや、海洋の覇権争い、宗教から科学にシフトする価値観などを前提知識として押さえることで、当時の人間とペンギンの関わりについて理解を深めることができました。

読書感想文ブログとして気になるのは、ペンギン文学についてです。本ブログでも取り上げたペンギンの島白鯨が取り上げられます。ペンギンの島は一読しただけではよくわからなかったというのが正直なところなのですが、本書を読んでようやくその背景が少し理解出来ました。なお白鯨にペンギンが登場したのは全然覚えていません…。

ペンギン受難の時代は読んでいて辛い気持ちにもなりましたが、当時の価値観の違いなどもきちんと説明してあったので、なんとか冷静に読み進めることができました。こういうアプローチができる筆者がペンギン界にいらっしゃることは頼もしい限りだと思います。今後もペンギン本が出版される予定とラジオで紹介されていたので、そちらもチェックしてきたいです。

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