以前亡国の環境原理主義 / 有馬純を読んだ時からこの本の存在は知っていたのですが、流行りの本はスルーしてしまう悪い癖があり、まだ手を出していませんでした。下記ツイートで、どうやら本当に名著らしいというのに気づいたので、早速読むことにしました。
本書の「ファクトフルネス」とは、ファクトに基づいた、すなわち思い込みを排除した考え方の事です。思い込みの原因となる人間の本能を10章に分けて紹介し、各章末にその本能を乗り越える「ファクトフルネス」な習慣を提供してくれます。
分厚い本ですが、文章自体は易しいのでスラスラ読めます。ただし身に覚えのある話に考え込んでしまうこともしばしばあったので、なかなか読み進めるのに時間がかかってしまいました。思い込みのまま突っ走ることは、メディアやSNS、そして自分の身の回りでもよく起こります。当然自分自身にも当てはまることが多々あり、反省しきりでした。
この本を読む前から意識していたのは、第4章の恐怖本能です。官報複合体 / 牧野洋によるとメディアは警察ニュースに傾倒していますし、勝間和代のyoutube番組でも恐怖心を煽るメディアへの警戒を呼び掛けています。個人的に注意しているのは特定のネット広告です。不快なのはわかっているのについつい見てしまい、やっぱり不快になることが多々あります。そのため当ブログの広告に用いているGoogleアドセンスの設定で、電子書籍や化粧品のカテゴリはブロックしています。
本書では一歩踏み込んで、なぜメディアは歪んだニュースを流すのか、という問題を提起しています。それが第9章の犯人捜し本能です。ただし本書にはメディア側の動機についてははっきりと書かれていませんので、こちらで推測する必要があります。せっかくなので、ファクトフルネスに絡めて考察してみます。すなわち、ファクトフルネスを実践する能力があるか、もしくは能力が無いか。
前者の方だと経済合理性を優先した確信犯であることが考えられます。中毒性のあるコンテンツでリピーターを獲得する、反社や牛丼屋などと同じビジネスモデルですね。後者はどうでしょうか?こちらは悪気はありません。ただ思い込みが激しく、論理的な考え方ができないので、議論になりません。
と色々考えてみたものの、実際は色々な背景が絡み合っている気がします。メディアも事情は複雑なのかもしれません。
こんな感じで、とても妄想がはかどる本です。秋の夜長にはもってこいですね。
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