「会議は踊る、されど進まず」とはウィーン会議の言葉ですね。先日呼んだ歴史の本にも出てきました。今回はそんな権謀術数は登場せず、真面目なビジネスマンの話です。
win-winを目指す
本書では多数決はあまり好ましくないと繰り返し述べられています。多数決ではwin-loseになってしまい、組織としての団結が弱くなってしまうからです。何とかしてwin-winを目指す、それでもどうしてもうまくいかなければ多数決もやむなし、という進め方を推奨しています。
確かにwin-winは理想ですが、そう簡単ではありません。議論がまとまらず「何もしない」という結論になることもありますし、中途半端な折衷案になることもあります。すると、だれも得しないlose-loseの状態になることもあるでしょう。
本書ではwin-winに近づけるためのテクニックが紹介されています。例えば押し引きのテクニック。「A案が受け入れられない方はいますか?」というプッシュと、「A~D案の中で、受け入れられない案はありますか?」というプルを織り交ぜて、少しずつ修正していく。押し付けや妥協にならないように。
このように、かなり実践的なテクニックが具体的に説明してあるので、会議運営のバイブルとして活用できると思います。
会議出席メンバーの役割
本書のターゲットは会議の主催者だと思われますが、会議の参加メンバーがこれを学んでおいても役に立ちます。参加メンバーは会議で実際にアイデアを出したり、決定したにアクションに移らないといけないため、会議の本当の主役は参加メンバーだともいえます。
本書では基本的なことから説明されています。時間に遅れないこと、頭ごなしに否定しないこと、プレゼンがあればしっかり準備をすること。可能であればファシリテーターのサポートもできるようになりたいものです。趣旨に乗った発言をする、議論が逸れたら修正する。
こうしてお互いが同じ方向を向くことで、さらに会議は活発になるのではないかと思います。企業理念や経営ビジョンにも通じるものがあるかもしれません。
経験を積む
本書では基本的な会議の心得やコツを学ぶことができます。それと同じくらい、実践して経験を積むことが重要とも説明されています。会議を振り返って、改善していく。いわゆるPDCAですね。Plan → Do → Check → (Action) Plan →・・・を繰り返すことが大切です。
会議の運営は奥が深く、まだまだ学ぶこと、経験することがたくさんありそうです。それでは最後に、本書の終わりの言葉を引用します。
会議について学ぶべきことは、まだまだある。この本を足がかりに、問題解決、心理学、コミュニケーション、組織行動学などを学んで、さらに磨きをかけてほしいと願っている。
会議が絶対うまくいく法