礼とは何か / 桃崎有一郎

読書感想文
読書感想文

ビジネスを勉強しようとして本を選んでいたら、たまに論語が登場することがあります。何度か出てくるたびに気になってきたので、いっそのこと儒教を掘り下げてみることにしました。

過去の読書リストの中に論語が登場するのは渋沢栄一と岩尾俊兵なのですが、どちらも経営を説くにあたっての題材として扱われているので、いわばエッセンスをいいとこ取りした使い方です。『論語と算盤』では随所に論語を引用しているのですが、女性教育については時代に応じた考え方を推奨するなど、儒教のすべての価値観を肯定するわけではありません。

今回読んだ『礼とはなにか』も、主題は礼思想が現在日本にどう影響しいているかであり、その背景として主に『礼記らいき』を題材にしています。ただ筆者自身が退屈と評する『礼記らいき』の解説に9割以上を割いているので、読み進めるのも大変でした。

それでも「学校で授業の前に礼をするのはなぜか」という冒頭の問いが気になったので、何とか読み終えることができました。結局は、立場や時期を重んじる世界観の名残と理解したのですが、筆者としてはまたの機会にまとめたいとのことなので、今後の著作に期待します。

古典から学ぶべきエッセンスを抽出して現代に活かす、ということができれば理想なのですが、現実は体育会系のよくわからない慣習のように本質的でない部分も残りがちです。しかし本質を学ぼうとすると本書のような分厚い本になって、いくら勉強しても終わりがなさそうですね。長く続けられる趣味だと思うことにします。

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