2010年の本ですが、今読んでも参考になると思います。農業の未来はどっちだ!
大嘘だらけの食料自給率
というのが本書のサブタイトルです。「食料自給率」はカロリーベースで算出した指標ですね。
一方タイトルの世界5位は「農業生産額」を指標にした順位です。どの指標を使うかで大分印象が変わってくる典型的なケースですね。
本書ではこのカロリーベースで算出した食料自給率を批判しています。国の政策では食料自給率が低いことを課題としているのですが、そもそもこの指標には意味が無いというのが本書の立場です。そこで食料自給率について、色々なサイトで調べてみました。
インターネット検索での食料自給率
Googleで検索・・・食料自給率を課題としたページがヒットした。悲観的な見出しも多い。
Amazonで検索・・・上位の書籍は食料自給率に否定的だが、悲観的な書籍も多い。
YouTubeで検索・・・食料自給率に否定的な動画が大半。
Google検索では、政府や大手メディアからの発信は影響が大きいため、検索上位になりやすいと思われます。一方YouTubeでは、投稿者は一般人やネットメディアが中心であり、比較的庶民的な感覚が反映されやすいといえるのではないでしょうか?そう考えみると、お上は食料自給率を課題とし、一般人は食料自給率は懐疑的、という状況かなと思いました。
Wikipediaでの食料自給率
一応Wikipediaにも食料自給率のページがありました。
食料自給率 – Wikipedia
ただし日本語の記事は充実しているのですが、他の言語だと中国語とフランス語のささやかな記事があるだけです。なお英語の記事はありません。
その中国語の記事では、“food self-sufficiency rate”という英訳が載ってました(日本語の記事には無いのですが)。そこでその英訳でGoogle検索したところ、結局日本の記事しか出てきませんでした。どうもこの「食料自給率」というキーワードには何か不自然な点を感じずにはいられません。
食料安全保障
われわれの食料を安全に確保するためには、食料自給率が重要というのが国の見解だそうです。
リスクヘッジの基本は分散投資だと思うのですが…。ただし供給先を分散すると自給率は下がります。なんだか目的と手段がよくわからなくなってきました。
農業への期待
本書では日本の農業の実力を高く評価していますが、同時に農業経営は難しいビジネスだと説明しています。それは、技術力やマーケティングなど、複雑な知識と判断が求められるからです。日本には自然や気候という大きな強みがあるので、国が邪魔しなければその強みを存分に発揮することができることでしょう。
この本の影響もあってか、一部で食料自給率の正しい理解も普及してきているようです。ただ悲観論は刺激的で盛り上がるので、ちゃんと指標の元となる計算式を調べるなど、一歩踏み込んで情報を理解することが必要だと思いました。
以下参考動画