ザ・ゴール / エリヤフ・ゴールドラット

読書感想文
読書感想文

先にパロディ本の方に手を出してしまいましたが、ようやく元祖に挑戦します。

本書を読むまで

13歳からの経営教科書のシンポジウムに参加した際に、ゴールドラットジャパンCEOの岸良裕司氏が本書を紹介しており、そこで興味がわきました。

本書の概要を調べたところ結構分厚い本だったので、つい後回しになり気づいたら半年経過していましたが、ようやく挑戦することにしました。本書にハマる方は一気に読めるそうですが、私は読み終えるまで結構時間がかかりました…。

本書のエッセンス

本書はストーリー仕立てのため、はじめから体系的な理論が提供してあるわけでは無く、登場人物が模索しながら少しずつ知見を得ていきます。そのため本書の受け取り方は読者次第かと思います。私の場合はというと、乱暴なまとめ方をすると、かんばん方式の布教本という印象です。本書の随所に日本の生産方式を意識しているのが見て取れます。

登場人物は在庫管理の改善を課題としており、そこに会計方法(評価方法)の見直しや、抵抗勢力との向き合い方、さらにはベースとなる思考プロセスについて、イスラエル人の助言をもとにしながら自力で考えることができるまでの過程を描いています。

工場や本社メンバーを巻き込んでいく様子はストーリー仕立てならではの展開です。自分だけで理解するのでは不十分で、皆を説得するレベルまで応用することが必要になるという、実践的なメッセージに受け取りました。

本書の位置づけ

1978年出版のトヨタ生産方式によると、かんばん方式を定着させるには10年かかったそうです。筆者の大野氏が製造部長から工場長に就任し、権限の範囲を広げながら徐々に浸透させていき、世界に誇る生産方式が築き上げられました。

一方1984出版(日本語版は2001年)のザ・ゴールはこの方式を抽象化した一つの例とみることができると思います。ネットで検索すると本書の現実性について懐疑的なコメントもありましたが、そもそも抽象化したストーリーなので、その辺は割り切る必要があると思います。

また本書は全体最適化に焦点を絞っており、個別最適化はほとんど省略されています。これは、一旦細かい現実は置いておいて、プロセス全体を俯瞰してみようという提案だと理解しました。

本書の位置づけを踏まえた上で、抽象的な世界と現実とをバランスよく両立させるさせることが、実践の秘訣かと思いました。

以下参考動画

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