嘘だらけシリーズの古代史、大半が皇室史です。現在の皇室にも言及する決定版 皇室論では丁寧な言葉遣いだったのですが、本書はかなりポップな文面になっています。そのため、教科書のような出来事の羅列ではなく、ストーリーとしての歴史を理解することができます。
この古代の皇室史、タイムスケールがとても長いです。天智系と天武系の争いが百年、大友皇子と淡路廃帝に諡号が贈られるまでに千年かかっています。一時の価値観で皇室を語ることができないない理由がよくわかります。
本書に限らず、筆者の本では繰り返し「バランス」が出てきます。本書だと皇国史観の全肯定/全否定、極端な男系/女系、神道/仏教などです。そしてこのバランス感覚に必要なのが常識や教養です。
特にこの常識が必要とされるのが、神話の読み方です。実際にあったかどうかで済ませるわけでは無く、なぜそう伝わったのかを考察します。本書で言うところの「仮説の積み重ね」です。さらっと書いてありますが、一般人には到底及ばない領域です。だからこそ専門家が存在するのですが、その専門家の良し悪しを見極めるのが常識、と理解しました。
ちなみに今月のムーは神話特集でした。こういうのを楽しむためにも常識が必要ですね…。
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