審判はつらいよ / 鵜飼克郎

読書感想文
読書感想文

youtubeの書籍紹介は、ほとんど動画だけで満足してしまうのですが、これは本の内容が気になりました。

あまり目立たないけど必要不可欠な、スポーツの審判員にスポットを当てます。様々なスポーツ(サッカー、野球、柔道、ボクシング、飛び込み、ゴルフ、相撲)から審判員が登場しますが、競技における審判の立場はそれぞれ違います。特にゴルフの競技委員や相撲の行司はそもそも審判という位置づけではないのですが、その立場の違いを並べることによって、競技自体の本質を垣間見ることができます。

審判というとスポーツの公式的な立場を担う印象ですが、本書では各々の独自の思いに迫っています。競技経験、男女差、ビデオ判定などに対する見解が各章で述べられますが、協会の公式なものではありません。個人の意思を引き出すことによって、審判が意思を持った存在であること、競技の中の一員であることがわかります。

メジャー/マイナースポーツのいずれにおいても、審判の担い手不足が問題となっています。飛び込みの章を読んだ時には、マイナーな採点競技は今後厳しいのではと思いました。しかしよく考えると、パリ五輪の新競技はすべて採点競技です。競技として成立させるために採点というシステムを採用したのでしょうが、これらの持続可能性が今後気になるところです。

審判側の事情を知ってしまったら、気軽に文句を言えなくなってしまいます。スポーツに限らず、世の中には様々なアンパイアが存在します。「ルール」との向き合い方を考えさせられる一冊になりました。

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