本当に役立つ経済学全史 / 柿埜真吾

読書感想文
読書感想文

エセ経済学というのはエセ科学と比べて見分けるのが難しいです。そこで、経済学史という処方箋が役に立ちます。

本書は新進気鋭の経済学者が、古典派から近年の主流派までを簡潔にまとめ上げています。一読して印象に残ったのは、登場人物の主張が正論から詭弁まで幅広いことです。言い訳の歴史と言ってもいいかもしれません。経済の現況をリアルタイムで理解するのが難しく、検証するのに時間がかかることが原因かもしれません。本書にも出てきますが、世界恐慌の原因を解析するのに30年以上かかっています。

今騒がれている気候変動も似たようなものだと思いました。こちらも実験が困難ですからね。不確かな情報の中で判断せざるを得ない難しいテーマだと思います。

現在の経済情勢が正しい状態なのかを判断できるほどの知識は無いですが、本書を読むことで少しずつ良くなってきていることは理解出来ました。適切な金融政策や財政政策が重要であるとのことですが、それだけ聞くと当たり前のような気もします。ただし金本位制や社会主義も20世紀の話ですし、バブル崩壊も平成です。経済が成長したり安定する時期を探すのが難しいくらいです。現在の当たり前は経済の歴史が行き着いた結果であり、未来から現在を見ると過程とも言えます。この辺りも経済を理解するのが難しい原因かと思います。

地道に経済本に挑んでいますが、なかなか難しいです。第6講で限界や市場理論が登場した時には、ミクロ経済学の力に歯が立たなかったことを思い出しました。また挑戦しようかな。

参考動画

紹介動画です。

本書の一部がyoutubeに公開してありました。

本当によくわかる経済学史(3)見えざる手と比較優位の真意
本当によくわかる経済学史(8)1929年世界大恐慌の真実
本当によくわかる経済学史(12)ヒトラーの経済政策への誤解
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