名前でよむ天皇の歴史 / 遠山美都男

読書感想文
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前回古代史の本を読んだ際に、「諡号しごう」という見慣れない言葉が出てきました。そのときはネットで調べて済ませたのですが、たまたま図書館で見かけたこの本にもっと勉強しろと言われた気がしたので、深追いすることにしました。

本書は冒頭で諡号や追号の丁寧な説明から始まるので、初学者でも無理なく読み進めることができます。生前の功績をたたえた諡号に対して、追号は主に京都近辺の地名や寺社名が使われます。諡号から追号に移り変わる時代からは退屈だったのですが、「後」がつくあたりから天皇の系統や実績などの意味も含まれるようになって興味深かったです。中には筆者が疑問を呈する名前もあり、それはそれで面白かったです。

筆者の代表作には「大化改新」、「壬申の乱」、「天智と持統」などがあります。そのためか、飛鳥・奈良時代の章が一番活き活きしていたように思います。天皇が実権を持つ時代というのも大きいかもしれません。男系だけで単純に見ると天智系と天武系に分かれるのですが、実際は双方の系統が入り組んでいます。例えば持統天皇は天智の娘で、かつ天武の皇后です。光仁天皇は天智の孫で、かつ聖武(天武の曾孫)の娘婿です。辛うじて男系がつながっていく展開にハラハラします。

平安時代から先は、ほとんど京都の地名や寺社の名前になるので、印象が薄い名前が続きます。ただし当時の呼び名にも近いので、その時代を理解するにはこの方がふさわしいのかもしれません。

小学校の授業でも出てくる天皇の名前を、今更理解することができました。なぜ疑問を持たずに覚えていたのか…。世の中は知らない事だらけです。

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