自由な社会をつくる経済学 / 岩田規久男、柿埜真吾

読書感想文
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元日銀副総裁の岩田氏と、新進気鋭の経済学者である柿埜氏の対談を収めた本。タイトルからいって、自由と成長の経済学を補完するような本です。

岩田氏はさすがベテランで、達観というか退廃というか、日本の未来に諦め感が漂う論調でした。消費税増税には否定的ながらも、安倍元首相に対しては擁護する姿勢を見せてます。また次期日銀総裁についても悲観的です(対談は2022年なので、2023年に植田氏が就任する前)。

柿埜氏は哲学科出身だからか、ところどころフランス革命や五・一五事件などの話が登場するなど、幅広い見識が垣間見えます。本書などで提唱している「物価水準目標」は、Googleではあまりヒットしませんが、「Price-Level Targeting」だと結構ヒットしました。日本の金融政策に対する理解はまだまだといったところでしょうか。

興味深かったのが、脱成長でおなじみ斎藤幸平氏の以下ツイートを評価していた点です。このツイートをたどった先は正直意味不明だったのですが、どうやら安倍元首相へのいわれのないバッシングとは距離を置いているようです。柿埜氏は、脱成長自体は本書でも否定しながら、斎藤氏のこういうスタンス自体は評価しているようです。反論するに足りる相手だと。

さて柿埜氏といえば言わずと知れた炭素税推進派。本書でも言及していました。ぜひとも次回はもう少し詳しく、具体的には巻き上げた税金の使い道についてご教示いただければと思います。

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