2023年6月に改正入管法が成立したことすらよく理解していませんでした。そういう感覚だと、なかなか共感するのが難しいかもしれません。
本書では元入管職員の筆者が、「ブラックボックス」に翻弄される外国人に寄り添う立場で、入管の問題点を解説しています。まず基礎的な解説としてマクリーン事件が取り上げられるのですが、私はこの時点で何が問題なのかよくピンときませんでした。そこでつまづいたので、本書を読み進めるのは結構難しかったです。
文章自体は易しいのに、理解が追い付かなかった理由を考えてみたのですが、おそらく外国人側の視点に切り替えることができなかったのだと思います。元入管職員の筆者は当然ながら、外国人側の立場をよく理解されていたのでしょうが、外国人になった経験がほとんどない自分には根本的なところがわかっていないのかもしれません。人生経験が不足しているため、頭の柔軟さが足りていないのでしょう。
ただし、話の展開の仕方でついていけなかった部分もあるかと思います。筆者は外国人側の言い分として頻繁に可能性の話を持ち出すのですが、一方で国会議員が可能性の話をしてバッシングを受けた例も示しています。これではどちらの話を信じていいかわからなくなります。
海外の事例などもあると理解が進むのかもしれませんが、分厚い本になってしまったら気軽に手を出さなかったかもしれません。本書による問題提起によって、まずは関心を持つことが第一歩ではないでしょうか。そこから諸外国の事例、国内の外国人の需要、さらには悪質なブローカーや活動家など、この問題の背景を掘り下げて理解を進めていきたいと思います。
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