岩尾俊兵先生のXで、経済学のファクトフルネスと評されていた本です。そのポストを引用しようと思ったのですが、先生はSNS休止中とのことで見つからず。
さて本書は、リクルートワークス研究所が報告している研究プロジェクト「未来予測2040」における成果の一環として筆者が執筆したものです。
未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる|報告書|リクルートワークス研究所
日本が今後直面する「労働供給制約」についてシミュレーションを実施しました。今後起こる私たちの生活への影響を明らかにするとともに、労働供給制約の時代でも持続可能で豊かな社会を作るための、解決策を報告します。
Amazonで「本当 日本経済」と検索すると、実に多数の本がヒットします。これらは主に日本経済をできるだけ客観的に分析し、その「現実」を明らかにすることを目的としてるようです。本書の第一章でも、人口減少を軸として日本経済の「現実」に迫ります。経済学の知見が乏しいので確かなことは言えませんが、本書で指標としている「単位労働当たりのコストである時給水準」によって、給与の実態について本質的に理解できると感じました。
第二章では人口減少に立ち向かう具体的な企業事例が紹介されます。経済活動の「現場」が出てくるのは経済本には珍しい気がしましたが、これこそがタイトルの「ほんとう」に当たる部分で、むしろこの「現場」を知らないと本当の日本経済は見えてこないのでしょう。
そして第三章で、「現実」に基づいた未来予測を打ち出し、その対応策を提唱します。移民や過疎化、デジタル化など、すでに直面している問題に対する建設的なアプローチが展開されます。
人口減少の局面で、人間の真価が問われていることを思い知らされました。この変化に悲観的でも楽観的でもなく、現実的な視点を提供してくれる一冊です。
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