世界史は化学でできている / 佐巻健男

読書感想文
読書感想文

教養が無いためか歴史の本を読んでも太刀打ちできないことが増えてきました…。こんな時は少し角度を変えて歴史を学ぶことにします。

世界史に出てくる人物

本書は化学をベースとした本ですから、主な登場人物はアボガドロやメンデレーエフなど、化学の教科書でおなじみの人物です。ただし一般的な世界史に出てくる人物もたくさん出てきます。

17世紀のイギリスでは、王権神授説のジェームス1世、チャールズ1世が議会と対立し、清教徒革命につながります。このジェームス1世、チャールズ1世は、たばこの規制を強化して反発を受けた人物として本書に出てきます。歴史上は議会や宗教が主役ですが、庶民の目線だとたばこも立派な主役ですよね。

戦争論の主役フリードリヒ大王は、本書ではじゃがいも栽培を奨励した人物として登場します。シュレージエン戦争を知らなくても、ジャーマンポテトならわかるという方は多いのではないでしょうか。本書のおかげで世界史に抵抗が無くなってきました。

生活のいたるところに化学

本書で扱う化学物質は、プラスチック、金属、セラミックなどの素材やアルコール、毒薬まで様々です。さらにその利用分野も衣食住の必需品から、嗜好品や兵器にまで及びます。それらの歴史を幅広くカバーしているため、本書は400ページ近いボリュームがあります。そのため本自体も結構分厚く、読むのに時間がかかりました。

化学の世界と同様に、人間の体も幅広い物質で構成されています。「第6章 カレーライスから見る食物の歴史」では、様々な食物の歴史とともに人間の雑食性について説明されています。人間は雑食性であるがゆえに、世界中で生き延びているし、逆に幅広く食べないと健康を維持できないそうです。このブログもどうしても雑多な記事が増えてしまいますが、ブログを飽きずに続けるためには必要なことなのだと理解しました。

科学技術の未来

自分は工学部の出身で、今でもその知識でメシを食っているので、科学系のニュースには自然と関心が向かいます。例えば大学入学共通テストの英語科目で、人工甘味料やポリ塩化ビニルに対する誤った認識がなされていることを知ると、日本は果たして科学立国なのか不安になります。

世間は科学の面白さに興味が無いのかなとも考えましたが、別に悲観的になる必要はなさそうです。本書は読みごたえのある分厚い本にもかかわらず図書館で予約が殺到しており、自分の順番が回ってくるまでに半年かかりました。みんなワクワクする科学の教養を求めているのです。

あまりネガティブな情報に惑わされずに、自分もワクワクする気持ちを持ち続けようと思います。

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