まちづくり幻想 / 木下斉

まちづくり幻想 読書感想文
読書感想文

コロナ交付金が盛大にばらまかれており、その使い方が注目されています。そこで話題になったイカキングについて、この筆者が解説していました。その内容がとても興味深かったので、本も読んでみることにしました。

普遍的な無駄遣い

本書は「まちづくり」、主に地方自治体の予算を用いた施策についての本ですが、民間企業でも起こりうる、もしくは実際に起きていることが書かれていました。新しい挑戦への抵抗勢力や、挑戦するフリをした茶番などは、官僚型になった組織ではありがちなことではないでしょうか。

個人的に、本書を読んでイメージが変わったのが二宮尊徳です。学校というやや官僚的な組織を象徴する場所に飾られることが多いため、あまりイメージが良くなかったのですが、実際は地域の利益を考える実業家のような側面を持っているようでした。いずれまともな伝記を読んで、本質的なところを理解してみたいと思いました。

事業の進め方

本書では予算消化的な事業を批判し、しっかりと利益を追求した事業の進め方を提案しています。特に「初めての事業 4つの原則」という章で説明される内容は、実際は先延ばしにしがちな内容ばかりです。だからこそ、ここにしっかりと向き合う必要があるのだと気づかされました。

ただしこのような本質的な議論は、結構精神を消耗してしまいます。そのため批判しにくい環境が生まれてしまい、納得がいかないまま惰性で進んでしまうことも多いことでしょう。そのため、普段から夢やビジョンを語ることや、ネガティブにならないチーム作りが必要になります。このように、事業以前の環境づくりから本書は解説しています。

まずは考え方から

本書では方法論よりも「考え方」にフォーカスを当てていると説明しています。確かに根本的な考え方が身につかない段階では、いくら方法論を用いても実を結ぶことは難しいでしょう。

この「考え方」、本書を読んで個人レベルでは理解できたとしても、組織単位で身に着けるにはハードルが高くなります。やはり組織になるとネガティブな考え方に陥りがちというイメージがあります。

本書から得たヒントは、まずは小さな事業、小さなチームで始めるのがよいとのことでした。何事も、できることからコツコツと積み上げていくことが大切なのですね。

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